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講師:武松 生徒:魯智深
武松: アンタと話してると体力が削られてく…さっさと終わらせよう。
魯智深: 酒飲ませろ!飲ませろ酒!シラフで聞いてられるか!
武松: もう集中力切れてんのかよ!早ぇよ、いくらなんでも!
魯智深: ワインか…嫌いって訳じゃないが、あのグラスというのが苦手でな。
武松: いかにもアンタらしい意見だな。俺も同感だが。
魯智深: で、ワイン飲ませてくれんのか?それなら話を聞かないでもないぞ。
武松: あぁ、後でな。まずは話からだ。ワインの蓋に使われてるコルクってあるだろ?
魯智深: ワインの蓋か…わしは開けるのが面倒なんでな、大概の場合ビンの首をひねって
武松: そうそう。あれはコルクって植物なんだが、他の木に比べると何かが違う。
魯智深: うむ。柳も枝はしなやかだが、切れっ端にしてしまうとコルクよりも堅いな。
武松: 一緒にすんな!まぁワイン代が経費で落ちることは認めるけれども。
魯智深: 「コルクはきっとヨガの修行をしているに違いない!」
武松: してねぇよ!
魯智深: そう考えたフックはコルクに負けてなるものかとインドに渡ったのであった。
武松: 渡らねぇ!確かに当時のイギリスはインドの利権を巡ってフランスともめてたけども!
魯智深: あいつらもなぁ、商売のことなんぞ考えずにヨガの悟りでも開いてれば平和だったろうに。
武松: まずアンタが悟り開いてから言えよ!
魯智深: お、そんなこと言っていいのか?わし開いちゃうぞ、悟り?
武松: あぁ開け開け、それで満足したらさっさと帰ってくれ。
魯智深: 顕微鏡を買う金すらなかったのか、かわいそうになぁ…
武松: 当時は顕微鏡が商品化されてなかっただけだっての。
魯智深: 真っ暗闇しか見えなかった。驚いてレンズから目を離すと顕微鏡の脇には細い
武松: あるわけねぇだろ!なんで自分しか使わない物にそんなお茶目な機能を付ける!
魯智深: いや、研究費の足しになると思ってな。遊びに来た奴らにも無理矢理見せたりしてな。
武松: 友達なくすぞ、そんなことしてたら…
魯智深: なんだ、ヨガ説はハズレか。せっかくインドまで行ったのになぁ。
武松: ヨガ説なんか唱えてねぇしインドも行ってねぇ!
魯智深: コルクの隙間が「細胞」?じゃあわしらも隙間だらけなのか?
武松: いや、そうじゃない。この時フックが見たのは死んだコルクだったのさ。
魯智深: そうか、細胞には水が詰まっておるのか。わしの細胞には酒が詰まっとるかもしれんが。
武松: かもな…いっぺん見てもらえよ、学者さんに。えらい結果が出そうで怖いが。
魯智深: 「細胞とはヨガの境地である」だよな?
武松: ヨガから離れろよ!「細胞は全ての生物の活動単位である」だ!
魯智深: だがわしは知らなかったぞ。常識もまだまだ甘いな。
武松: アンタの知識が少なすぎるんだよ!
魯智深: まぁいいや。とりあえず終わりだよな?さて、ワインワインと。
武松: おい、勝手に終わらせるな!まだだっての!
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