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登るぞ


朱貴 しかしまぁ、派手に壊れたもんだ…

朱富 困ったもんだねぇ。

 

李雲 …なんだ、兄弟そろって浮かない顔して。

朱富 浮かない顔にもなりますよ、先生。見てください、あの屋根。

李雲 ずいぶんデカい穴が開いてるなぁ!どうしたんだ?

朱貴 ゆうべ鉄牛の奴が、ちょっとね…まぁ誰がやったかは良いんです。問題は誰が直すかなんで。

李雲 誰かに頼めば良いんじゃないか?いるだろ、大工ぐらい?

朱富 それが、なぜか大工だけはいないんです。

李雲 へぇ…そりゃ困ったなぁ。好んで屋根に登りたがる奴も、そうはいないだろうし。

朱富 だから俺がやりますけどね。

朱貴 待て待て、俺の店の事で弟にケガさせたんじゃカッコ悪いだろ。俺がやるよ。

朱富 なに水臭いこと言ってんだよ。俺がやるって!

朱貴 俺がやるって言ってんだろ!

朱富 いやいや俺がやるって!

李雲 言い争うなよ!それなら俺がやるよ!

朱貴朱富 どうぞどうぞ。

李雲 えぇ!?本当に俺?

朱富 先生、言ったからにはやってもらわないと。

朱貴 お礼も用意しますから…ウチの酒、飲み放題ってのはどうですか?

李雲 酒は要らないって…まぁ男に二言は無い、やるよ。

 

 

朱富 ハシゴはかけときましたんで、板と釘とトンカチ持って上まで行ってください。

朱貴 大丈夫かい、李雲さん?

李雲 やった事は無いが…屋根に登るぐらいわけないさ。ほい、ほい、ほいっと。…な?

朱貴 おぉ、いい感じですねぇ。

朱富 先生先生!トンカチ忘れてます!

李雲 おぉっと、うっかりしてたな。いったん降りよう…すまないな。

朱貴 李雲さん…降りるは良いが、持って行った板を持って降りるこたぁないでしょうよ。

李雲 あぁあぁ、またうっかりしてたな。とりあえず板は戻して、と。

朱富 先生!トンカチ持ってって下さいって!

李雲 すまんすまん、また降りるか。

朱貴 だから板は置いとけばいいんですって!

李雲 あぁ、戻す戻す。

朱富 だから登るならトンカチ持ってって下さい!

李雲 いやいやいや、すまないすまない。

朱貴 李雲さん、板!

朱富 先生、トンカチ!

朱貴 板!

朱富 トンカチ!

朱貴 板!

朱富 トンカチ!

朱貴 板!

朱富 トンカチ!

朱貴 板!

朱富 トンカチ!

李雲 あわわわわわわわわわわ…

 

 

朱貴 はぁ、はぁ、はぁ…

朱富 はぁ、はぁ、はぁ…

李雲 はぁ、はぁ、はぁ……ふぅ〜、いい汗かいた。

朱貴朱富 まだ何もしてないよ!

 

(次回に続きます)

 

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