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〜 それはまるでドッキリのように 〜
徐寧というキャラは、主人公達の居る梁山泊の危機を救う手段を持つ者として登場します。
梁山泊の危機とは、まあ平たく言えば山賊集団である彼らが政府軍の精鋭部隊に攻められて
あんな最新兵器にかないっこねーよなぁなどと嘆いていた、といったところです。
山賊の危機を救えるという、徐寧の職業は何か?これが例えば役人に家族を殺された者だったり、
現在の生活に満足していない者だったりすれば話は早いでしょう。かわいそうかも知れませんが、
それが生きる意味になるのなら応援こそすれ同情はしないでしょう。
しかし彼の職業は・・・都である開封の、軍の武術師範だったのです。しかも都でも屈指のエリート部隊の
育成を任されている、バリバリの軍人です。もちろん役人に恨みなんかあるわけないです。
また開封は色々あってほかの武術師範がことごとく辞職して出ていってしまっていたため、彼に対する
待遇もかなり良かったものと思われます(多分)。
そんな彼を味方にするのは、いくら大義があるとはいえ世間的には「山賊」でしかない
梁山泊には難問といえたでしょう。しかし梁山泊は彼を味方にし、見事に政府軍を
撃退します。でも、いったいどうやって?
一人の泥棒と、一服のしびれ薬で。
ご丁寧にも徐寧の名をかたって強盗事件も起こし、彼を帰れなくしてしまう作戦も同時に行いました。
更には彼に内緒で奥さんも梁山泊に連れてきていたこともあり、徐寧はあきらめて梁山泊の一員に
なるのでした。
家宝を奪われておびき出され、薬でコロッといって仲間入り・・・梁山泊の数あるヘッドハンティングの
中でも、ここまで微笑ましいというかコントチックな作戦も珍しいです。前述の奥さんにしても
「あらネズミだわ」じゃねーよ!とかつっこみたくなるし、のこのこおびき出される徐寧には、何となく
「徐寧!後ろだよ、後ろ!」とか言いたくなりますね。
このエピソードの前後には敵味方に多大な損害の出る戦争シーンが描かれているため(そもそも徐寧は
戦争の切り札なんですから当然ですけど)、同場面の脱力感はいっそう強く感じられると言えるでしょう。
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